【自作PC】余剰パーツでNASを組み立てる。その(4)転送速度と2.5GbE化編【TrueNAS】

 無事NAS用PCの組み立てが終わり、TrueNASのインストールが完了したので実際に使ってみます。

前回のお話は...

余ったPCパーツで、データ保管のためのNASを自作。今回は、TrueNASのインストールと設定をすすめていきます。

速度を測ってみる

CrystalDiskMark

 ベンチマークではどれほどの速度が出るか見てみましょう。最新Ver.のTrueNASでは起動時に2.5GbE NIC(Network Interface Card)を認識しないので1GbE接続になってます。また、複数回の平均や最速ではなく1回だけの計測にしています。これには理由があります。

 CPU:Xeon E3-1230 v2
 MEM:24GB
 WD60EZRX x4

 CPU:Marvell(R) Armada 370
 MEM:512MB
 ST60000DM003 x2,ST40000DM000 x1

 TrueNAS-PCは、Read 116.92MB/s、Write 118.33MB/sと1GbE接続の帯域一杯近くまで使っています。比較でいままで使っていたReadyNAS104のベンチマークもとってみましたが、かなり遅いです。


 こちらはメインPCのSATA3につながっている、WD30EZRZです。HDDとしては標準的なスピードでしょうか。

ファイルコピーを測定

 実際にファイルをコピーして時間を測ってみました。自分がよく使う「撮影後のデジカメからのコピー」と「動画ファイルのコピー」を想定したサイズにしています。ボトルネックにならないようメインPC側はRAMDISKを使用しました。


デジカメRAW
約7.7GB
380ファイル
TrueNAS → PC 1回目 96秒
TrueNAS → PC 2回目 75秒
ReadyNAS → PC 205秒
PC → TrueNAS 75秒
PC → ReadyNAS 217秒
MP4ファイル
約7.7GB
1ファイル
TrueNAS → PC 72秒
ReadyNAS → PC 193秒
PC → TrueNAS 71秒
PC → ReadyNAS 209秒

 CrystalDiskMarkの結果から予測できる転送速度に収まっています。唯一「TrueNAS→PC 1回目」のRAWファイルコピーが遅めです。これがZFS(TrueNASのファイルシステム)が遅いと言われる所以でしょうか。ですが、2回目からはTureNASのキャッシュにあるデータを読み行くので速度があがります。この「搭載メモリをたっぷり使うキャッシュ」があることで、例えば画像ファイルのインデックスを表示した後、そのデータがキャッシュに溜まり、選択して画像を表示させる時のスピードが速くなったりします。確かにメモリは載せられるだけ載せた方がよいですね。

 なんでもかんでも平均値を出してしまうと、こういう部分が見えてこないので今回は平均値は使っていません。

2.5GbEを有効化する

NICとハブ

 PC側には「Realtek RTL8125B」チップを使用したNICをPCIeスロットに挿しています。メインPCとの接続には「Planex FX2G-05EM」を使用しています。

created by Rinker
プラネックス
¥8,418 (2024/05/08 23:11:30時点 Amazon調べ-詳細)

TrueNASで設定を変更

 前述の通り、ハードウェアとしては接続してあるのですがTrueNASの起動時に2.5GbEのNICが認識されません。ドライバー自体は12.0-U4というバージョンからサポート、13.0-U1からドライバーが自動で有効化して標準で使用することが出来たのですが、一部環境で不具合が出るそうで13.0-U2からドライバーとしては残るものの別途設定をしないと使えなくなりました。そのため、以下の手順で設定していきます。

 [System]→[Tunables]から右上の[ADD]をクリック。

 Variable:if_re_load
 Value:YES
 Type:loader
 を入力したら[SUBMIT]をクリック。

 登録されました。このあとTrueNASを再起動します。

 2.5GbE NICが認識されました。このあとオンボードLANを無効にするためシャットダウンしたあと、LANケーブルを差し替えて起動します。

 これはTrueNAS-PC側の起動後の画面ですが、赤枠にあるようにネットワーク構成を確認してくださいと出てしまいました。通常、赤枠の部分には割り当てられたIPアドレスが表示されるのですがどうもうまくいっていないようです。どちらにしても固定IPアドレスにするので、ここから設定します。
 9キーを押してshellに入り、『ifconfig [NIC] inet [IPアドレス] netmask 255.255.255.0』を打ち込むと、固定アドレスを設定できます。

 ブラウザから先ほど設定したIPアドレスでアクセスすることが出来ました。2500Base-Tとして認識されています。

 shellでアドレスを固定しましたが、こちらでも固定しておきます。どうもうまくいかなかったのでオンボードLAN(alc0)の設定を削除して、re0側の設定をしました(オンボードLANを有効化すれば再び表示されます)。

2.5GbEの実力は如何ほどのものか

2.5GbE

1GbE

 2.5GbE接続ではシーケンシャルリードが1GbEの2.4~2.5倍ほどに速度があがっています。一番下の「RND4K Q1T1」の数値もあがっており、単純にストレージの性能だけでなくPCとNICの接続においても改善されているのが伺えます。先ほどと同じファイルを使いコピー速度も計測してみました。


デジカメRAW
約7.7GB
380ファイル
1GbE TrueNAS → PC 1回目 96秒
TrueNAS → PC 2回目 75秒
2.5GbE TrueNAS → PC 1回目 64秒
TrueNAS → PC 2回目 34秒
1GbE PC → TrueNAS 75秒
2.5GbE PC → TrueNAS 34秒
動画MP4
約7.7GB
1ファイル
1GbE TrueNAS → PC 72秒
2.5GbE TrueNAS → PC 32秒
1GbE PC → TrueNAS 71秒
2.5GbE PC → TrueNAS 27秒

1回目。キャッシュHitなし。

2回目。キャッシュHitあり。

 デジカメRAWファイルのコピーは1GbE接続と同様に2回目からはキャッシュが効いて転送速度があがってきます。また、1GbE接続の1回目と2.5GbE接続の1回目を比較すると明らかに転送速度が向上しています。ベンチマークのところでも指摘したように、PCとNICの接続においても性能アップを確認できます。


 大きいファイルのTrueNAS-PCへの書き込みが一番速いです。

TrueNAS導入時は、一緒に購入しよう

 巷で言われているようにRaid-z(ZFS)を遅く感じるようなことはなく、2.5GbEにすれば1GbEの時に発生したボトルネックも解消。10GbEを導入するにはコストが…という方にもLANカード2枚と2.5GbE対応のスイッチングハブで1.5万円ほどなので自作NASをお使いの方には是非おすすめします。

 今回も【きりしま屋】さんのブログを参考にさせていただきました。

バイクとコンピュータとちいさきもの。…